2007年11月28日

おはよう

某所で「膝枕『上』から「おはよう」って声が降ってくる」なんていう
ネタがありまして、つい書いてしまったものをこちらに貼っておきます。

それにしても、1年ぶりの更新がこれってのもなんですが……
//
 いつも冷静沈着でなければならない、そう思って生きてきた。いつの頃からかは憶えていない、
未だ幼い頃からそうして生きてきた。施設で育った私は泣きじゃくってしがみつく親もなかったし、
大人に甘えるにはどうすればいいのかいつも計算していなければいけなかったから。
 大人から見たら「手の掛からない子」の私は、泣くことはあっても「感受性が豊か」ではあっても
激することもなく。常に一歩引いて見ているのが当たり前だったし、それがつらいとも寂しいとも、思ったことはなかった。

 そんな私が感情をぶつけられる、そんな男が目の前にいる。友情を育んだ挙句に惚れてしまい
告白したものの、回答保留のまま未だに「親友」でしかないのだけど。このすっとこどっこいは
私に自分でも知らなかった感情を教えてくれて、自分でも馭し切れない想いに気付かせてくれた。
こんなにあいつを思っているというのにね。

「ん? どうした? 顔になんかついてる?」
 ありゃ、そんなことを考えていたらいつの間にか睨み付けていたらしい。それにしても……
「なんか、眠そうだと思ってね」
 実際、ホントに眠そうだ。連日睡眠時間が短いと言う。それなのにこうして会いに来てくれて、
それはそれで嬉しいけれど。
「ん〜、大丈夫〜。君の珈琲飲んでる間は眠らないから」
 なんて言いながら、私のベッドに背中を預けたまま、マグカップを抱えて今にも眠りそう。
 私はしょうことなしにあいつの隣に行ってマグカップを取り上げてみる。最初は抵抗があったが、
ものの一分もしないうちにマグカップはあいつの手から離れた。

 うとうとしていても抱えたマグカップの珈琲を溢したことのないあいつのことだから、どうせ半ば
意識はあるのだろう。そうは思ったけれど、首を不自然に垂らしている。これじゃ後で肩凝りか、
下手すりゃ筋を違えるよ。
「たまには膝枕でも如何?」なんてそっと口にしてみれば案の定、「人間の頭は存外に重くて……」なんて呟きが返る。
 その能書きが意外にもすぐに寝息に変わり出したので、ちょっと茶目っ気を出して頭をこそっと引き寄せてみる。
いつもなら、目を覚ますか頑なに姿勢を崩そうとしないのだけれど、驚いたことに今日はそのまま倒れこんできた。
 慌てて頭を抱えるようにそっと膝におろす。全くもう、意識が曖昧なときだけ素直なんだから。

 あいつの寝顔を見詰めていると、愛しい気持ちが溢れてくる。昔の私が知らなかった気持ち。
あいつ以外には向けたことがない気持ち。あいつが目を覚ましたらなんて言ってやろう。
皮肉の一つも言おうか、それともその前にキスの一つでもしてしまおうか。
 なーんて考えるのは楽しいけれど、選ぶ言葉は一つだけ。ありったけの思いを籠めて……

「おはよう」

ちょっと字句修正@'09/12/20
posted by 性悪狐 at 02:30 | Comment(3) | TrackBack(0) | SS
膝枕…憧れますね。実は自分がやって欲しかったりw
しかしながら、実際にはきっと高いような気がします。
自分に合う高さや硬度の枕が未だに見つからない、マクラジプシーなもんで…
Posted by 蝶ちゃん at 2011年02月23日 11:38
コメント感謝。
膝枕そのものよりも、そのシチュエーションに憧れますよね。
枕に関しては、最近は東急ハンズやその類の店で測定から試用までいろいろできるそうですね。
私は割と困ってないけれど。
Posted by 性悪狐 at 2011年02月23日 13:21
未だに枕難民なのが久しぶりに通りますよ〜w
あれから進歩が無くて…ベスポジ枕さんに出会えてないんですよね(~_~;)

いえ矢張り、膝枕のシチュエーションが良いのであって。そんな素敵な場面には憧れます。
Posted by 蝶ちゃん at 2013年03月25日 03:55
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/69743291
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。